保険相談の前に、どこまで自分で調べるか|50代が自分で決めること、任せること

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一人で仕事をしていた頃は、調べることも、比べることも、決めることも、全部自分で抱えていました。人に仕事を渡すようになって分かったのは、自分に残すべき仕事は思っていたよりずっと少ない、ということです。どこへ向かうかを決めること。何を基準に選ぶかを先に伝えること。最後に決めること。この三つだけで、調べることと比べることは渡していい仕事でした。

保険の相談も、同じ形をしているのではないかと思っています。見直したほうがいいとは思っている。ただ、知識がないまま行くと言いくるめられそうで、まず公的な保障の仕組みを調べ、商品を比べ、条件を確認してから行こうとする。制度は例外と条件の集合体で、読むほど「では自分の場合は」が増えます。そうして、行かないまま半年が過ぎる。

先に決めておいたほうがいいのは、商品の知識ではなく、自分が何を優先するかのほうです。


同じ相談でも、先に何を言うかで話が変わる

同じ50代で、同じ「医療保険を見直したい」で相談に行った二人を並べてみます。

Aさんが最初に伝えたこと。

  • 毎月の保険料は、これ以上増やしたくない
  • 入院したときの費用は、ある程度は貯蓄から出せる
  • 心配なのは、療養が長引いて働けなくなり、収入が減ること

Bさんが最初に伝えたこと。

  • 貯蓄はできるだけ崩したくない
  • 医療費の持ち出しは、できるだけ読める形にしたい
  • 毎月の保険料が少し増えるのは、受け入れられる

Aさんとの話は、働けない期間の収入をどう埋めるかが中心になります。入院一日あたりの費用をどこまで厚くするかは、話の中心からは外れます。そこは貯蓄から出せると本人が言っているからです。そして、毎月の負担を上げない範囲で何ができるかを見ていくことになります。

Bさんとの話は、医療費の持ち出しをどこまで小さくできるかが中心になります。毎月の負担が少し増えても、支払いが読める形にできるか。働けない期間の収入をどう埋めるかは、確認する順番があとになります。

同じ50代、同じ見直しです。それでも、検討する方向はここまで変わります。相手が違うことを言ったのではありません。二人が最初に言ったことが違うだけです。

では、何も言わないまま座った人はどうなるか。話は、誰にでも当てはまる一般的なところから始まります。もちろん、相談員によって扱える範囲や進め方には差があります。ただ、こちらが何を先に守りたいかは、こちらが言わないと相手からは見えません。

なお、AさんもBさんも、持っていったのは三行のメモです。制度を調べ上げてから行ったわけではありません。


先に決めておくのは、三つだけ

Aさんのメモも、Bさんのメモも、書いてあることは同じ三つでした。

  1. 何を一番守りたいのか。働けない期間の生活なのか、医療費の持ち出しなのか
  2. 毎月いくらまでなら払えるのか
  3. かかった費用のうち、どこまでを貯蓄から出せるのか

この三つは、調べても出てきません。制度のどこにも、商品のどこにも書かれていない。自分の中にしかないからです。

逆に、どの制度が自分に当たるのか、条件に合う商品はどれか、いくらになるのか。こちらは自分の中を探しても出てきません。並べて突き合わせる作業であり、相談の場に持っていける仕事です。

自分が決めるために要る理解は、手元に要ります。全部を一人で把握しようとすると、終わりが来ません。

そのうえで、最後に決めるのは自分だ、というところだけは手放さない。手放すと、決めていないのに決まった状態になります。提案が出てきたその場で、断る理由も言えない。相談で出てくるのは判断材料であって、答えそのものではありません。


次にやること

いま、この三つを書けますか。どれも、資料がなくても書けます。書けなかったとしても、それはこれまで書く必要がなかっただけです。そして、ここは調べなくても今日のうちに進められる部分でもある。

順番としては、こうなります。

  1. 三行を書き出す(完成した判断軸でなくて構いません。AさんとBさんのメモも三行です)
  2. それを最初に伝えて、制度と商品の確認を突き合わせる
  3. 返ってきたものを、その三行に照らして決める(今回は決めない、という決定も含みます)

2で突き合わせる中身のうち、先に自分で見ておきたい部分は、姉妹サイトに置いてあります。相談先にどんな種類があるのか、当日までに何を整理しておくのか、公的な保障はどこまでを見てくれるのか。数字や手続きの細かいところはそちらにまとめました。

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まとめ:自分で決めることと、任せること

一人で全部やっていた頃は、どこまでが自分の仕事なのかを考えたことがありませんでした。全部が自分の仕事に見えていたからです。役割を分けて初めて、手元に残すのは三つでいいと分かりました。

保険の相談も、同じだと考えています。この線の引き方は、保険だけのものでもありません。住宅ローンの借り換えでも、税理士との打ち合わせでも、任せる相手がいる場面では同じところに線が引けます。

同じ位置にいる方の、次の一手の参考になれば幸いです。


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