50代の保険料は高いのか|平均を調べても答えが出ない理由

保険

事業のお金では、各経費に予算を立てます。そのうえで、全体でいくらまでという枠を決める。

この状態で、ある経費が想定より多く必要だと分かったとする。そのとき最初に出てくる問いは、「その経費は高いか安いか」ではありませんでした。「超過する分を、どこから持ってくるか」です。

他のどの経費を削って帳尻を合わせるか。削れないなら、その分の売上をどこで作るか。枠を決めてあると、この思考が働きます。判断の対象が、その経費単体から、経費どうしの取り替えに変わるからです。

保険料も、同じではないかと思っています。

50代の平均額を調べて、自分の額と見比べる。そこまではできる。そのうえで「では、下げますか」と聞かれると、答えが出ない。保険料が高いかどうかは、保険だけを見ても決まらないからです。

先に断っておくと、保険料を減らせという話ではありません。枠を決めた結果、いまのまま払い続けるという判断も普通にあります。

枠がないと、支出は二択でしか判断できない

全体の枠を決めていないと、事業でも議論が進みませんでした。出てくる答えは、だいたいこの二つです。

  • 「必要な経費だから仕方ない」
  • 「高いから削れ」

どちらで終わっても、いくらまでなら払うのかは誰にも言えないままです。枠がないと、比べる相手がいないので、単体で必要か不要かを言い合うことになります。

枠があると、同じ場面で話が具体的になります。この経費を通すなら、どこを我慢するのか。我慢できないなら、いつまでに何を増やすのか。議論の対象が、その経費の是非から、配分の組み替えに移ります。通した経費が高いか安いかは、結局そこでしか決まりませんでした。

家計でも、同じことが起きています。枠を決めていない状態で保険料だけを見ると、出せる答えは二つしかありません。必要か、不要か。

保険は、必要か不要かだけで考えると、「あった方が安心」という結論になりやすい。病気もするし、家族もいる。そう考えると減らせないが、額を見ると重い。ここで止まります。

不安のほうが強い日は、逆に振れます。足りない気がして、もう一本足そうかと考える。このときも根拠は「必要そうだから」で、その分をどこから出すのかは決まっていません。

二択で止まるのは、判断力の問題ではありません。比べる相手が盤面に載っていないからです。保険料を月に千円増やすことが妥当かどうかは、その千円を他のどこから持ってくるかが決まって初めて答えが出ます。

平均は、置く場所が決まってから働く

保険料を保険料だけで調べる順番は、思いつきではありません。情報が、そもそも項目ごとに分かれて出てきます。

  • 保険料の相場は、保険の比較サイトに
  • 通信費の相場は、通信費の比較サイトに
  • 住宅ローンの水準は、住宅ローンの記事に

項目ごとに数字が整理されているので、気になった項目から順に調べることになります。

平均を知ること自体は役に立ちます。自分の額が分布のどのあたりにあるかは分かるし、極端に外れていれば、そこで気づけます。

ただ、平均は「他の人がいくら払っているか」であって、「自分がこの先いくらまで払うか」ではありません。下げるか下げないかを決めるのは、後者のほうです。平均と自分を並べても、自分の側の答えが書かれていないので、比べた時点で作業が終わってしまう。

項目ごとの数字はすぐ手に入るのに、その数字を置く土俵まで示してくれる情報は、こちらから探しに行かないと出てきません。用意されている作業から先にやるのは、自然なことです。

先に決めるのは、お金全体の枠

やることは、順番を入れ替えるだけです。保険の額を調べる前に、毎月出ていくお金の総額を、自分でいくらと決めるかを先に置きます。

決め方は難しくありません。手取りから、先に取っておきたい分を引く。残りが、毎月の暮らしに配れる総額です。これが枠になります。

千円単位で合っている必要はありません。枠の役割は、正解を出すことではなく、費目どうしを比べられる状態を作ることだからです。

枠が決まると、保険への問いが変わります。「この保険は必要か」ではなく、「この枠のうち、保険にどれだけ渡すか。増やすなら、どの費目と取り替えるか」になります。

同じ千円でも、通信費から回すなら、いまの通信の契約を見直せるかを先に確かめることになる。貯める分を削るなら、確かめるのは、削った千円をいつ戻すかのほうです。どこから持ってくるかまで考えると、その保険料を自分の家計で負担する意味が見えやすくなります。

そしてこのとき、調べておいた平均が初めて働きます。自分の枠と、世の中の水準を同じ紙に置いたときに、増やすか減らすかの判断が出てきます。平均が要らないのではなく、平均を置く場所が先に要る、ということです。

ただし、枠を決めても、保険にいくら渡すのが正解かまでは出てきません。保障がいくら必要かは、健康状態、家族構成、いま入っている契約の条件で変わります。枠がやるのは、その確認をどの範囲でやるかを決めるところまでです。

いま、自分の枠はいくらですか

一度、当てはめてみてください。

  • 毎月出ていくお金の総額を、いくらまでと決めていますか
  • その総額のうち、保険料が何割を占めているか言えますか
  • 保険料を月に三千円増やすとしたら、どの費目から回すか即答できますか
  • この1年で保険料の相場を何回調べて、そのあと何が決まりましたか

項目ごとの相場は、いつでも調べられる形で用意されています。一方で、総額をいくらにするかを決める作業は、誰も代わりにやってくれません。他人の平均は動かせませんが、自分の総額は自分で置けます。

次にやること——枠を決めてから、保険を見る

順番としては、こうなります。

1. 毎月の枠を決める(手取りから、先に取っておきたい分を引く。千円単位で合っていなくて構いません)

2. いまの保険が、その枠の何割を取っているかを出す(契約が何本あって、合計で月いくらか)

3. 増やすか減らすかを、取り替えで決める(増やすならどの費目から回すか。減らすならその分をどこへ置くか)

契約が複数あって、どれがいくらか把握できていない状態は珍しくありません。ここは調べれば埋まる部分なので、先に手を付けておくと3番が早くなります。

3番で「減らす」と決めた場合も、手段は解約だけではありません。減額、払済、延長といった形で、契約を残したまま負担だけ下げる方法があります。ここは金額の計算が絡むので、姉妹サイトの記事にまとめてあります。

まとめ:枠があって初めて、保険の増減が決まる

事業のお金では、経費が高いか安いかを、その経費だけを見て決めたことはありませんでした。決まったのは、全体の枠を先に置いて、削るならどこかを並べてからです。

家計でも、順番は同じだと考えています。先に決めるのはお金全体の枠で、そのあとに保険が入る。枠が決まると、保険は「必要か不要か」の二択から、「この枠のうちどれだけを渡すか。増やすならどの費目と取り替えるか」という判断に変わります。

同じ位置にいる方の、次の一手の参考になれば幸いです。

次に読む——枠の中で、保険にどれだけ渡すか

枠を決めて、保険がその何割を取っているかまで出ると、残る問いは二つになります。その保障は本当に要るのか。そして、枠の中で保険に渡さないと決めた分を、どこへ置くのか。

この二つは、保険料の額とは別の話です。特に後者を決めないまま保険料だけ下げると、浮いた分がそのまま消えて、枠を決めた意味がなくなります。

保険と資産形成の役割を分けて、どちらを先に置くかを整理した記事です。保障の要不要は、健康状態や既契約の条件が絡むため自分だけでは閉じにくく、その突き合わせを外でどう使うかもそこに書いています。

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